世の中のいろいろなことに対して、少しばかり主張してみます。


by Hi-Zettaisha
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“反戦平和主義者”たちが反応しない事件

前のエントリーの続きです。

その前にイラクの現況ですが、バグダッドとその周辺に関する生の声が「Falluja, April 2004 - the book」の3月2日のエントリーで紹介されています。
このサイトは、紹介文↓にあるようにイラクでもスンニ派(旧政権派)地域の情報を多く紹介しています。
現代企画室刊『ファルージャ 2004年4月』を引き継ぐ形で、同書共訳者2名がファルージャおよびイラクについてのニュースなどを英語から日本語にして紹介しています。
その性格上、反米的な意見が多くなるのは自然ですが、それもイラクの現地の声です。
注目すべきは、英語で情報を発信できない市井の人が「犯人はサウジアラビア(ワッハーブ派が主)から来た」「いやイラン(シーア派が主)から来た」と言っていることです。
「犯人はイラク人でないという、共通認識が生まれているようです。
またイラン人が爆破した、撮影していたテレビクルーが射殺されたという目撃証言もあるようです。
事態は決して鎮静化していない、とも。
以上は いけだよしこ 氏の翻訳による記事からですが、益岡賢氏の翻訳による2月28日のエントリーでは“反米風味”が妙に強調されています。訳者の趣味でしょうか?

私には、真偽はどうあれ「犯人は外国人だ」の声に「イラク人としての連帯感」が感じられて、希望が持てる気がします。決して楽観はできませんが。

さて本題。
今回もそうですが、“反戦平和主義者”たちが反応しない事件として思い出されるのは、昨年11月9日、イラクの隣国ヨルダンの首都アンマンで、三箇所の高級ホテルが爆破され、新郎新婦を始め結婚式に参列していた人たちなどが大勢犠牲になった事件。
後にイラク人女性が「自爆に失敗した犯人」として逮捕され、テレビにもその映像が流されましたが、“反戦平和主義者”の間ではイスラエルによる陰謀説が囁かれた程度で、犯人に対する非難は見られませんでした。
「イスラエル人によるパレスチナでの暴力」に対する反応とは、雲泥の差です。
※このニュースについては、現在見ることのできるソースが減っており、かろうじて「イスラム関係ニュースの倉庫」に残っています。
※事件の発生については11月10日のエントリー、捕らえられた犯人については11月14日のエントリーをご覧下さい。

もう一つ、彼らのダブルスタンダードを象徴するのが、イタリアのテレビ局の報道を発端とした「白燐弾」騒動。
極めて一般的に使われている、白燐を使った照明弾や発煙弾が、これも昨年11月頃から“世にも恐ろしい焼夷兵器”・“悪逆非道の化学兵器”としてキャンペーンされた話です。
一昨年のファルージャでの戦闘での話を、スクープとして取り上げたもので、その波及効果は大きく、パレスチナから情報を発信するサイト・ナブルス通信 「パレスチナ・ナビ」のブログ「P-navi info」では「ファルージャで使われた白燐弾がパレスチナでも!」というエントリーが立ったほど。
もう、完全に“非人道兵器”扱いです。

これについては、井上孝司氏がサイト「Kojii.net」の昨年11月21日のコラム「白燐弾の話と貧困空軍の話」で一蹴されています。
また多くの軍事に詳しい人たちによって検討を加えられ、“トンデモ”であることが証明されています。
詳しくはJSF氏のブログ「週刊オブイェクト」の「白リン弾」カテゴリーや、ホームページ「軍事板常見問題 Daily FAQ in 2CH」の「WP Rhapsody, Iraq FAQ」をご覧下さい。
ブログ「愛・蔵太の気ままな日記」の11月20日のエントリーも、参考になります。
ウィキペディアの「白燐弾」の項には、控えめにこう↓あります。
近年、イラクにおいてアメリカ軍が使用している、白燐を使用した手榴弾、砲弾が非人道的な化学兵器であるとの報道がイタリアのテレビ局RAI、毎日新聞[1]、イギリスの新聞ガーディアン などの一部マスコミよりなされたが、上記のように白燐弾は大量破壊兵器、化学兵器の定義には該当しない。また白燐を使用した発煙弾は第一次世界大戦から使用されている(説によっては更に遡る場合もある)兵器であり、その原理・構造は容易に調査が可能であることから、単なる誤解・調査不足であるとも考えにくい。
一部のブログ、多くのミリタリーマニアからは、反米・反戦のイデオロギーに基づくプロパカンダではないかと強く疑われている。
しかし“反戦平和主義者”の皆さんは未だ諦めていないようです。
先にも出てきた益岡賢氏は「燐兵器」で自説を滔々と述べられていますし、先のウィキペディアの記述を“偏向”と非難する「★阿修羅♪」への投稿もあります。
※左系にもっと偏向した記述には「だんまり」なのに。

infoseek を“白燐弾”で検索するとトップに来る「燃える雨-白燐弾についてのまとめサイト-」。
タイトルを読むと、いかにも中立的な立場でまとめられたサイトのように思えます。
しかし実際は、ブログ「模型ダイアリー」のブログ主 D_Amon 氏と並び、“白燐弾・非人道兵器説”の二大巨頭(?)である、ブログ「FWF -フットボールは未来の兵器である-」のブログ主、masterlow 氏が自らの主張に合う資料のみをまとめたサイトです。
「ファルージャの白燐弾騒動」は終息していないのでしょうか?

これだけ、アメリカ軍による“非人道兵器”白燐弾の使用を非難する“反戦平和主義者”の皆さんのことです。
化学兵器を使用したのが“イラクの抵抗勢力”であったとしても、同じように非難するんでしょうか?
答えは「NO」です。

齊藤力二朗氏の「アラブの声」メーリングリストは、「日本の自衛隊員が戦死した」等の怪情報もありますが、“反戦平和主義者”の皆さんが信頼する現地情報の一つです。
そのメールの一つに「イラク抵抗勢力、首都の北方の米軍基地に化学弾頭弾4発発射、270人殺害」というものがあります。
 ファッルージャで米軍は科学性有毒ガスを使用したと様々な異なったソースが伝えているが、22日0:35掲載のイスラム・メモは特報で、抵抗勢力が化学弾頭ロケットを米軍基地に発射したと伝えた。
 抵抗勢力は現地時間21日朝8時15分頃バグダード北方のバラドにあるバクル米軍基地に、化学物質の弾頭を装備したロケット弾4発を撃ち込んだ。4発は2500人の米兵が駐屯している米軍基地内に落下した。この基地はイラクの北部方面と北東方面、北西方面の米軍へ支援・補給センターとされている。
 同基地内の情報筋は、「これらのロケット弾は爆発時に白色物質を発散させ、基地の北東部分に命中した。そこは米軍部隊が(イラク北部の)モスルに向けて進発準備中であった」と強調した。同筋はこの攻撃で米兵270人以上が死亡したと述べた。
【中略】
 このたびのバクル基地に対する抵抗勢力による化学攻撃は、占領軍がファッルージャを化学兵器で攻撃した数日後に起きた。抵抗勢力は過去にも、ハバーニーヤ、ハドバ、ラマーディー、モスル、ドウェイリバの各米軍基地攻撃に化学兵器を使用している。
【以降省略】
もし事実とすれば、“貧者の核兵器”と言われる化学兵器の、実に典型的な使用例になります。
アメリカ軍の「化学兵器の使用」が非であるのなら、“抵抗勢力”側にも非があるはずです。
しかし“反戦平和主義者”の皆さん(もっと正確に言えば“オルタナティブ方面”の皆さん)は、誰も“抵抗勢力”を非難せず、この情報そのものも無視しました。
これをダブルスタンダードと言わずして、何と言うのでしょうか?
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by Hi-Zettaisha | 2006-03-03 22:51 | 政治・軍事・外交