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世の中のいろいろなことに対して、少しばかり主張してみます。


by Hi-Zettaisha
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普天間基地の移設問題を報道で追う

沖縄県宜野湾市にある、米軍普天間基地。
「普天間飛行場」とも呼ばれる通り、アメリカ海兵隊の航空基地です。
アメリカ海兵隊が海軍の地上戦闘部隊から発展した、陸軍・海軍・空軍と並ぶ存在の部隊であることをご存じの方も多いと思いますが、彼らは独立して作戦を行うために自前の航空戦力を持っています。
普天間基地に置かれているのは、沖縄に駐留する海兵隊の部隊を運ぶための「空中機動力」として使う、中/大型ヘリコプター部隊が主で、他に攻撃ヘリコプター部隊と、ヘリコプター用の空中給油機が駐留しています。
つまり“空飛ぶバス”“空飛ぶトラック”、燃料を補給する“空飛ぶタンクローリー”、そして護衛の“空飛ぶ装甲車”が、普天間基地には居る訳ですね。



では、歩兵にとって頼りとなる“空飛ぶ砲兵”、戦闘機/攻撃機の部隊はどこにいるかというと、こちらは岩国基地に駐留しています。
そこから空母(航空母艦)または強襲揚陸艦に移動して格納され、目的地に派遣されるのです。
「航空基地」と聞いて早合点される方もいるようですが、普天間基地に戦闘機や攻撃機は展開していません
そういう部隊をわざわざ普天間基地に置く、運用上の利点に乏しいからです。
空母に載せる部隊である以上、佐世保や横須賀等、空母のいる軍港に近い方が燃料の節約にもなりますし。

ところが、です。
ブログを読んでいると、普天間基地にジェット戦闘機の轟音が響いているように書く人が結構いらっしゃいます。
中には、読者を意図的にミスリードしようとしているのがバレバレの人もいます。
皆さんプロパガンダ、ではなかったお仕事、御苦労様です。

さて話を戻して、この普天間基地の最大の問題、それは立地条件です。
他の多くの在日米軍基地が旧日本軍の飛行場や駐屯地を転用したのと異なり、宜野湾市の中央部にあるこの航空基地は、大東亜戦争中に米軍が農地を接収して建設したものです。
つまり「平時における民間人との共存」があまり考慮されていません。
基地が市街地の真ん中にあり、しかも隣り合わせのため、航空機事故が起きた時の危険性が高いのです。
住民が事故を心配するのは当然ですが、航空機を運用する側も気を遣う基地のようです。
普天間基地の公式ホームページに、こんな記述があります。
同航空基地周辺は宜野湾市に囲まれている為、騒音やその他の環境汚染に対する環境要因の重要性が高まっています。 普天間は民間地域に近接しているため、建ち並ぶ高層ビルの影響で安全な離発着経路が要求されることを認識しています。
平成16年8月には、CH-53D“シースタリオン”輸送ヘリコプターが沖縄国際大学に墜落するという事故が起きています。
幸いにして乗員以外の死傷者は無かったものの、普天間基地に航空部隊がいることの危険性を改めて気付かせた事故でした。

地元の人は「危なくてしようがないから撤去して欲しい」、使っている米軍は「使いづらい」。
そんな普天間基地の撤去、駐留部隊の移動は「沖縄の負担軽減」の目玉とされ、日本政府の実現すべき政治課題となりました。
平成8年に「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)が最終報告で、代わりの基地を作って部隊をそこに移し、普天間基地を撤去・土地を返還すると発表。
代替施設として名護市の沖の海上にヘリポートを造ることに決まり、防衛施設庁の予算も付いたものの、なぜか“ジュゴンの命”を旗印にした反対運動のために計画は全く進まず。
それから10年、普天間基地の周りは、危ないまま放置されてきました。

しかし今年になって、ようやく事態が動き出したようです。
名護市にある、アメリカ海兵隊の駐屯地「キャンプ・シュワブ」の地続きの海岸に飛行場を作る、という案が有力となり、地元との折衝が始まりました。
その流れを、新聞報道で追ってみたいと思います。

まず最初は、海上ヘリポート正式断念を伝える記事から。
◆沖縄タイムス 3月16日夕刊
施設局・契約解除を通知/普天間代替事業
 那覇防衛施設局は十六日、同局が発注した米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖への代替施設建設関連事業で、ボーリング地質調査などの受注業者に対し、「契約解除」を通知、正式に同計画を断念した。
【中略】
 「血税の浪費」「新たな契約の兆しだ」―。米軍普天間飛行場の名護市辺野古沖移設に関して、那覇防衛施設局がボーリング調査など代替施設建設関連事業の「契約解除」措置を取ることについて、反対派や識者は十六日、膨れ上がった事業費を批判。新たに日米両政府が合意した沿岸案に警戒を強めている。
 ボーリング調査は、二〇〇四年四月に試みられたが反対派の抵抗や気象条件などで、作業進行が停滞。〇五年四月には夜間作業で二十四時間、反対派と作業員が向かい合う膠着状態に陥ったが、同九月に作業足場を撤去し、実質作業を終了。一カ所の掘削調査もできず、税金が投入されたとみられる。
最初は、多少偏ってはいても詳しいだろうからと、沖縄の地元紙『沖縄タイムス』『琉球新報』の記事で流れを読もうと思っていましたが、やめました。
細かい部分を詳しく書き過ぎるため、却って大きな流れが見えにくくなってしまうからです。
また、やはり“反戦平和運動”側への偏りが激しいこともあります。
ボーリング調査そのものが「血税の浪費」と(他者に語らせて)書いていますが、事業者に「血税の浪費」を強いたのはボーリング調査を阻止し続けた反対派の行動です。
そのことに一言も触れない姿勢では、大きな流れの判断材料としては不適当です。失格。

地元のブロック紙『中日新聞(東京新聞)』は、ウェブサイトで読める記事が少ないから駄目。
それに偏り具合は前の二紙ほどではないものの、かなり強いので使う気になりません。

やっぱり全国紙を使いましょう。さてどこにするか。
『朝日新聞』特定の情報を意図的に流さない場合が多々ありますし、傾向は前の二紙と同じだから不採用。
『毎日新聞』は『朝日』と類似の傾向があるとはいえ、記事は詳しくていいのですが、特定の話題をウェブサイトで追うという使い方には不向きです。
『読売新聞』のウェブサイト「ヨミウリ・オンライン」は読み慣れていますし、記事も割と中立的ですが、少し過去の記事になるとすぐに消えてしまうのが難点。
『産経新聞』は(紙媒体を)通勤途中で買って読んでいます。
かなり過去の記事もウェブサイト「サンケイ・ウェブ」で読むことはできますが、その記事を探すのが大変なこと、記事に癖があること、そして共同通信社の配信記事に頼る部分が大きく、この問題についての取材力に不安があることから却下。

さて、どうしましょう。
え? 日経?
私は『日本経済新聞』を読まないので、論外(笑)

『毎日』か『読売』か迷いましたが、基本的に『読売新聞』の記事を使って流れを追ってみたいと思います。
次のエントリーに続きます。
by Hi-Zettaisha | 2006-03-27 23:30 | 政治・軍事・外交