辺野古沖からキャンプ・シュワブまでの不思議
2006年 03月 28日
前のエントリーの続きです。
今まで記事を読んできて、見えてきた流れを自分なりにまとめてみました。
ちょっと乱暴かもしれませんが。
まずは登場人物の紹介。
【沖】地元である沖縄県や宜野湾市、名護市等の市町村当局。問題の当事者。
【府】日本国政府当局者。往々にして実務者である官僚機構。もちろん問題の当事者。
【小】小泉内閣総理大臣。基本的に丸投げ。要所要所ではリーダーシップを発揮。
【米】在日アメリカ軍、及びアメリカ政府当局。当事者ではあるが、相手は日本政府のみ。
【反】反戦平和運動。往々にして沖縄県外主導。特定の政治勢力が利用する一面あり。在沖マスコミも包有される?
まぁ、細かいところで時系列が違っているかもしれませんが、大まかに。
【沖】市街地にあって危ないんだから、普天間基地を撤去してよ。
(俺たちの長年の要望だぞ。何とかしろよ。国民のための政府だろ!)
↓
【府】地元の意向もある。お願いだから基地を普天間から他に移転して下さいな。
(これ以上、文句を言われたくないよ。迷惑料だって馬鹿にならないんだから。)
↓
【米】日本側で、近くに代わりの基地を用意してくれたら、移転OKだ。
(今よりは設備も良くなるだろうし、こちらの腹は痛まないし。)
↓
【府】普天間は撤去しますが、代わりの基地を県内に作りたい。お願いします。
(相手は米軍。こちらからそう無理は言えないんだから。)
↓
【沖】嫌です! 基地は県外に移して下さいよ。
(この機会に、海兵隊そのものを沖縄から追い出したいんだよ。)
↓
【府】どうしても、県内にお願いします。手当てはしますから。
(県内の海兵隊を運ぶヘリを、県外に置くなんて無理だと判っているだろうに…。)
↓
【沖】本当は嫌だけど、仕方がない。辺野古沖ならOK。15年満期・軍民共用でもいい?
(海の上なら騒音も気にならないだろうし、海兵隊撤退は無理そうだ。)
↓
【府】その条件でいいです。作らせてもらえますか?
(15年先のことは、その時担当する奴に泣いてもらうさ。)
↓
【沖】いいよ。なるべく早く作ってね。地元のことも宜しく。
(とにかく普天間撤去だ。工事でも少しは儲かるだろうし。)
↓
【府】OKをもらったから、まずは辺野古沖でボーリング調査を始めよう。
(やれやれ、やっと動ける。官僚は仕事してナンボだからなぁ。)
↓
【反】辺野古沖にはジュゴンが生息するから、調査反対! 妨害してやる~。
(運動のネタができた~。これでしばらく食っていけるぞ。)
↓
【府】妨害されて何もできません。県の方でも何とかして下さい。
(事故にでもなったら、自分たちのせいにされるよ。)
↓
【沖】そういうことは、国の方でお願い。
(こっちは何もするつもりはないよ。火中の栗を拾いたくないし。)
↓
【反】頑固に護憲、頑固に平和、頑固に妨害~。やれるもんならやってみろ。
(日本国政府を苦しめるのは、本当に気持ちいいね~。)
↓
【沖】…。
(静観、静観。反対運動が、俺たちの損になるわけじゃないし。)
↓
【府】困った。どうしよう。手の打ちようがない。
(役人は決まったことしかやらないんだから、できなければ立ち止まるしかない。)
↓
(10年経過)
↓
【米】おい、代わりはまだかよ。随分待ってるぞ。いい加減にしろ。
(約束は守るのが当たり前だ。こっちにも都合というものがある。)
↓
【府】…。
(もう、どうにもならない。動きが取れないよ。)
↓
【小】環境保護は大事だよ。ジュゴンの藻場がある辺野古沖はやめだ。
(鶴の一声だぁ! これで事態が動くだろう。)
↓
【米】…。
(おいおい、約束しておいてそれは無いだろ。代わりの基地はどうするんだ?)
↓
【府】キャンプ・シュワブの敷地内に、空いている場所があるじゃないですか。そこはどうです?
(既にある基地の敷地内なら、面倒も無いだろうし。)
↓
【米】駄目だ。海の上に作ると約束したんだから、海の上に作れよ。
(どうしてウチの敷地を潰さなきゃならん? 日本側が用意するんだよ。)
↓
【府】キャンプ・シュワブの海側に、新たに滑走路を作るのはどうでしょう?
(その辺りで手を打とうよ~。反対運動に手を焼くのはこりごりなんだから。)
↓
【米】仕方がないな。それでOKだ。
(海側の埋め立てならウチの敷地を潰さずに済むし、基地の拡張にもなる。)
↓
【府】キャンプ・シュワブの沿岸部に作ります。何卒ご協力を。
(米軍もいいって言ったんだから、頼むから、お願い。)
↓
【沖】辺野古沖じゃないと嫌だ。騒音の心配や、事故の可能性があるでしょ。
(公約違反になると、こっちは選挙で困るんだよ。)
↓
【反】騒音被害が増える! 事故も起きる! 沿岸案にも反対!
(ばんざーい。運動のネタが増えた~。まだまだ食いつなげそうだ。)
↓
【府】どうしても、駄目ですか?
(頼むから、この辺りで手を打ってよ~。)
↓
【沖】嫌だと言ったら嫌。
(もう少し粘れば、計画を元の海上に戻してくれるかも。)
↓
【小】微修正くらいはいいんじゃないの。地元の言うことに耳を傾けようよ。
(またも鶴の一声。どうだ! その代わり、海上案は絶対に駄目だ。)
↓
【府】滑走路の向きとか陸からの距離とか、少し手直しするから、駄目ですか?
(この辺りで手を打ってよ~。総理は頑固だからこれ以上は無理だよ。)
↓
【沖】ちょっとは考えてやるよ。
(まだ粘れるかな? 限界かな? なるべく沖の方に持っていきたいな。)
↓
【反】総決起集会だ! とにかく反対! 何でも反対! 絶対に反対!
(ここでまとまったら困るんだよ。ジュゴンは別にどうでもいいけど、飯の種が無くなるのは困る。)
↓
【府】もういい加減にして下さい。ジュゴンの藻場があるから辺野古沖はやめたんです。
(もうゴネないでよ。俺たちの出世に響く。)
↓
【沖】まだまだ、納得しない。飛行経路が集落の上に掛かるのは絶対に駄目。
(俺たちはジュゴンなんてどうでもいいんだよ。騒音被害や事故に遭うのは嫌だ。)
↓
中入り(岸本建男・前名護市長が死去。)
こんなところでしょうか?
島袋吉和・名護市長は実利を引き出すべく条件闘争の構えを見せていますが、稲嶺恵一・沖縄県知事は海上案という原則論に固執しているように見えます。
地元の県と市で意見が分かれてしまっては、決着がいつ付くのか予想できません。
海上案に固執する稲嶺知事は、環境保護についてはどう考えているのでしょうか?
沖縄県警が反対運動の妨害工作を阻止したというニュースは聞いたことがありませんし、知事は本当に海上案で行きたいと思っているのでしょうか?
それとも、海兵隊の完全撤退という「見果てぬ夢」を追っているのでしょうか?
私には、解りません。
軍学者、兵藤二十八氏のブログの3月18日のエントリーが大きな示唆を与えてくれそうです。
今まで記事を読んできて、見えてきた流れを自分なりにまとめてみました。
ちょっと乱暴かもしれませんが。
まずは登場人物の紹介。
【沖】地元である沖縄県や宜野湾市、名護市等の市町村当局。問題の当事者。
【府】日本国政府当局者。往々にして実務者である官僚機構。もちろん問題の当事者。
【小】小泉内閣総理大臣。基本的に丸投げ。要所要所ではリーダーシップを発揮。
【米】在日アメリカ軍、及びアメリカ政府当局。当事者ではあるが、相手は日本政府のみ。
【反】反戦平和運動。往々にして沖縄県外主導。特定の政治勢力が利用する一面あり。在沖マスコミも包有される?
まぁ、細かいところで時系列が違っているかもしれませんが、大まかに。
【沖】市街地にあって危ないんだから、普天間基地を撤去してよ。
(俺たちの長年の要望だぞ。何とかしろよ。国民のための政府だろ!)
↓
【府】地元の意向もある。お願いだから基地を普天間から他に移転して下さいな。
(これ以上、文句を言われたくないよ。迷惑料だって馬鹿にならないんだから。)
↓
【米】日本側で、近くに代わりの基地を用意してくれたら、移転OKだ。
(今よりは設備も良くなるだろうし、こちらの腹は痛まないし。)
↓
【府】普天間は撤去しますが、代わりの基地を県内に作りたい。お願いします。
(相手は米軍。こちらからそう無理は言えないんだから。)
↓
【沖】嫌です! 基地は県外に移して下さいよ。
(この機会に、海兵隊そのものを沖縄から追い出したいんだよ。)
↓
【府】どうしても、県内にお願いします。手当てはしますから。
(県内の海兵隊を運ぶヘリを、県外に置くなんて無理だと判っているだろうに…。)
↓
【沖】本当は嫌だけど、仕方がない。辺野古沖ならOK。15年満期・軍民共用でもいい?
(海の上なら騒音も気にならないだろうし、海兵隊撤退は無理そうだ。)
↓
【府】その条件でいいです。作らせてもらえますか?
(15年先のことは、その時担当する奴に泣いてもらうさ。)
↓
【沖】いいよ。なるべく早く作ってね。地元のことも宜しく。
(とにかく普天間撤去だ。工事でも少しは儲かるだろうし。)
↓
【府】OKをもらったから、まずは辺野古沖でボーリング調査を始めよう。
(やれやれ、やっと動ける。官僚は仕事してナンボだからなぁ。)
↓
【反】辺野古沖にはジュゴンが生息するから、調査反対! 妨害してやる~。
(運動のネタができた~。これでしばらく食っていけるぞ。)
↓
【府】妨害されて何もできません。県の方でも何とかして下さい。
(事故にでもなったら、自分たちのせいにされるよ。)
↓
【沖】そういうことは、国の方でお願い。
(こっちは何もするつもりはないよ。火中の栗を拾いたくないし。)
↓
【反】頑固に護憲、頑固に平和、頑固に妨害~。やれるもんならやってみろ。
(日本国政府を苦しめるのは、本当に気持ちいいね~。)
↓
【沖】…。
(静観、静観。反対運動が、俺たちの損になるわけじゃないし。)
↓
【府】困った。どうしよう。手の打ちようがない。
(役人は決まったことしかやらないんだから、できなければ立ち止まるしかない。)
↓
(10年経過)
↓
【米】おい、代わりはまだかよ。随分待ってるぞ。いい加減にしろ。
(約束は守るのが当たり前だ。こっちにも都合というものがある。)
↓
【府】…。
(もう、どうにもならない。動きが取れないよ。)
↓
【小】環境保護は大事だよ。ジュゴンの藻場がある辺野古沖はやめだ。
(鶴の一声だぁ! これで事態が動くだろう。)
↓
【米】…。
(おいおい、約束しておいてそれは無いだろ。代わりの基地はどうするんだ?)
↓
【府】キャンプ・シュワブの敷地内に、空いている場所があるじゃないですか。そこはどうです?
(既にある基地の敷地内なら、面倒も無いだろうし。)
↓
【米】駄目だ。海の上に作ると約束したんだから、海の上に作れよ。
(どうしてウチの敷地を潰さなきゃならん? 日本側が用意するんだよ。)
↓
【府】キャンプ・シュワブの海側に、新たに滑走路を作るのはどうでしょう?
(その辺りで手を打とうよ~。反対運動に手を焼くのはこりごりなんだから。)
↓
【米】仕方がないな。それでOKだ。
(海側の埋め立てならウチの敷地を潰さずに済むし、基地の拡張にもなる。)
↓
【府】キャンプ・シュワブの沿岸部に作ります。何卒ご協力を。
(米軍もいいって言ったんだから、頼むから、お願い。)
↓
【沖】辺野古沖じゃないと嫌だ。騒音の心配や、事故の可能性があるでしょ。
(公約違反になると、こっちは選挙で困るんだよ。)
↓
【反】騒音被害が増える! 事故も起きる! 沿岸案にも反対!
(ばんざーい。運動のネタが増えた~。まだまだ食いつなげそうだ。)
↓
【府】どうしても、駄目ですか?
(頼むから、この辺りで手を打ってよ~。)
↓
【沖】嫌だと言ったら嫌。
(もう少し粘れば、計画を元の海上に戻してくれるかも。)
↓
【小】微修正くらいはいいんじゃないの。地元の言うことに耳を傾けようよ。
(またも鶴の一声。どうだ! その代わり、海上案は絶対に駄目だ。)
↓
【府】滑走路の向きとか陸からの距離とか、少し手直しするから、駄目ですか?
(この辺りで手を打ってよ~。総理は頑固だからこれ以上は無理だよ。)
↓
【沖】ちょっとは考えてやるよ。
(まだ粘れるかな? 限界かな? なるべく沖の方に持っていきたいな。)
↓
【反】総決起集会だ! とにかく反対! 何でも反対! 絶対に反対!
(ここでまとまったら困るんだよ。ジュゴンは別にどうでもいいけど、飯の種が無くなるのは困る。)
↓
【府】もういい加減にして下さい。ジュゴンの藻場があるから辺野古沖はやめたんです。
(もうゴネないでよ。俺たちの出世に響く。)
↓
【沖】まだまだ、納得しない。飛行経路が集落の上に掛かるのは絶対に駄目。
(俺たちはジュゴンなんてどうでもいいんだよ。騒音被害や事故に遭うのは嫌だ。)
↓
中入り(岸本建男・前名護市長が死去。)
こんなところでしょうか?
島袋吉和・名護市長は実利を引き出すべく条件闘争の構えを見せていますが、稲嶺恵一・沖縄県知事は海上案という原則論に固執しているように見えます。
地元の県と市で意見が分かれてしまっては、決着がいつ付くのか予想できません。
海上案に固執する稲嶺知事は、環境保護についてはどう考えているのでしょうか?
沖縄県警が反対運動の妨害工作を阻止したというニュースは聞いたことがありませんし、知事は本当に海上案で行きたいと思っているのでしょうか?
それとも、海兵隊の完全撤退という「見果てぬ夢」を追っているのでしょうか?
私には、解りません。
軍学者、兵藤二十八氏のブログの3月18日のエントリーが大きな示唆を与えてくれそうです。
日本はGNPの3%、つまり世界平均の国防負担をすることに決めれば、そもそも米海兵隊に沖縄に駐留していてもらう必要がありません。米海兵隊が沖縄(または日本国内のどこか)にいるかいないか、で、日本の対支抑止力が致命的に変わることなど、今日ありえない。
ですから日本政府は米海兵隊には、「今年一杯で出て行ってくれ」「シナと戦争になったら、いつでも適当な基地を貸すぜ」と申し伝えるだけで良いはずです。
【中略】
米国防省の秘めている「リアルな計算」と、米海兵隊がする「公式発言」は、大いに違いがあるでしょう。米国防省は、海兵隊が沖縄におらず、グァムまで退がっていても、日本人と台湾人にシナ人以上のガッツがありさえすれば、シナ人が増長することはないと考えています。
海兵隊の本音は、資産防衛です。既得の沖縄基地と「思いやり予算」は、彼らの長年親しんだ権益になってしまい、いまさら手放せないのです。
【中略】
しかし、どうせ恒久設備ではないと考えれば、防波堤もまたメガフロートとし、浮体滑走路本体も、連年修理を行なうという方式でスタートさせることができたはずでしょう。
そうすれば、ハシモト政権が簡単に考えた普天間基地の廃止そのものは、とっくに終わっていた話です。
メガフロが選択されなかった理由は二つあると疑われるでしょう。ひとつは施設庁の上層が、われわれが想像するとおりに、土建利権にすっかりからめとられていて、地元土建業者が参入できないメガフロを排除する必要があった。日本の鉄鋼産業の政治献金力などは土建屋にはまったく敵わないということでしょう。簡単に数億のキックバックが捻出できるほどに、日本の公共土建はムダだらけなのです。
もうひとつの理由ですけれども、普天間基地に私有地を貸すことで毎年何百万円も国から貰い続けられる基地地主たちの意向がありましょう。普天間滑走路の地下は石灰岩質で空洞(鍾乳洞)が無数にある。すぐにリゾートホテルなんか建てられない土地ですので、返還と決まれば、大損なわけです。
【中略】
海兵隊は「有事の航空基地使用」の便宜供与の約束だけを日本政府からとりつけたら、もう黙って沖縄からグァムに全部隊を引き上げるべきなのですけれども、その「そもそも論」を措いたとしましても、あきらかに筋の通らない話があるんです。
すなわち、いったん地元と同意した、「辺野古の沖合い埋め立て案」が、ごく少人数の反日活動家に妨害されただけで、ボーリング調査を全面的に不可能にさせられ、そのまま、あっさりと計画そのものがご破算にされてしまったことです。これに米軍が不信感を抱くのは当たり前ですね。そして日本政府もこんなマネを前例化させたりしたら、それこそ大禍根になるでしょう。
その「妨害」というのは具体的には、舟から人(本土から来ている共産主義者)が、調査しようとしている水中に飛び込むわけです。この水中に飛び込んだ中共の手先をうまく排除する方法(またはやる気)が、海保や水上警察にはないらしい。「巡視船や警備艇のスクリューでまきこんでミンチにしてしまったらマスコミがうるさかろう。それは厄介だ」という理由で、排除を試みないのです。
こんな理由で犯罪人の不逮捕が罷り通るなら、日本は法治国家じゃなくなりますよ。
【中略】
もうこれは地元警察または政府機関の構造的または組織的怠慢なんですよ。「政府の責任」「公に為した約言」が果たされていないわけです。とてもじゃないが、本件では政府側の弁護はできない。米軍が怒るのがあたりまえです。
辺野古岬の北隣の大浦湾には軍港はできそうもないですね。水深40mは立派ですが、そこに入るまでにリーフがあります(平島、長島を結んだ線の延長上)。このリーフの一部を深々と爆破して除去しませんと、喫水の深い船(高速双胴船など)は辺野古岬の北岸に接岸できないのです。
【中略】
げんざいの沖縄の就職先人気No.1は米軍基地従業員です。その従業員がなんと米軍基地反対デモにも参加しているそうです。戦後の日本政治の欺瞞は、沖縄には露骨に健在です。
by Hi-Zettaisha
| 2006-03-28 23:48
| 政治・軍事・外交