世の中のいろいろなことに対して、少しばかり主張してみます。


by Hi-Zettaisha
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「妥結」という名の先送りでは、問題は解決しない

前のエントリーの続きです。

とりあえず、交渉は妥結しました。
その交渉のネタにされただけで、仕事をせずに撤収する羽目になったのが海上保安庁の人たちです。
◆産経新聞 4月23日12時21分
測量船は撤収、東京へ 竹島周辺調査中止
 日本固有の領土である竹島(韓国名・独島)周辺海域の海洋調査が日韓両政府の合意で中止になり、鳥取県境港市の境港沖で待機していた海上保安庁の測量船「明洋」(621トン)、「海洋」(605トン)の2隻は23日午前8時ごろ、東京へ向け出航した。
 海洋調査は、韓国側が海底地形に関する国際会議へ竹島周辺の独自名称を提案する動きに、対案を準備する目的で14日に海上保安庁が実施を公表。測量船2隻は19日に境港へ入り同日夜から沖合で待機した。
 日韓政府は22日、外務次官会談で日本が予定した調査を中止、韓国は独自名称提案を見送ることで合意した。
果たして、これで良かったのでしょうか?



今までの記事の中に出てくる「国連海洋法条約」を読んでみます。
月刊「健論」のホームページに収録されている法令集から整形の上、抜粋します(太字は引用者)。
海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)
第5部 排他的経済水域
第55条 排他的経済水域の特別の法制度
 排他的経済水域とは、領海に接続する水域であって、この部に定める特別の法制度によるものをいう。この法制度の下において、沿岸国の権利及び管轄権並びにその他の国の権利及び自由は、この条約の関連する規定によって規律される。
第56条 排他的経済水域における沿岸国の権利、管轄権及び義務
1 沿岸国は、排他的経済水域において、次のものを有する。
【細目は省略】
2 沿岸国は、排他的経済水域においてこの条約により自国の権利を行使し及び自国の義務を履行するに当たり、他の国の権利及び義務に妥当な考慮を払うものとし、また、この条約と両立するように行動する。
3 この条に定める海底及びその下についての権利は、第6部の規定により行使する。
第58条 排他的経済水域における他の国の権利及び義務
1 すべての国は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、排他的経済水域において、この条約の関連する規定に定めるところにより、第87条に定める航行及び上空飛行の自由並びに海底電線及び海底パイプラインの敷設の自由並びにこれらの自由に関連し及びこの条約のその他の規定と両立するその他の国際的に適法な海洋の利用(船舶及び航空機の運航並びに海底電線及び海底パイプラインの運用に係る海洋の利用等)の自由を享有する。
2 第88条から第115条までの規定及び国際法の他の関連する規則は、この部の規定に反しない限り、排他的経済水域について適用する。
3 いずれの国も、排他的経済水域においてこの条約により自国の権利を行使し及び自国の義務を履行するに当たり、沿岸国の権利及び義務に妥当な考慮を払うものとし、また、この部の規定に反しない限り、この条約及び国際法の他の規則に従って沿岸国が制定する法令を遵守する。
第59条 排他的経済水域における権利及び管轄権の帰属に関する紛争の解決のための基礎
 この条約により排他的経済水域における権利又は管轄権が沿岸国又はその他の国に帰せられていない場合において、沿岸国とその他の国との間に利害の対立が生じたときは、その対立は、当事国及び国際社会全体にとっての利益の重要性を考慮して、衡平の原則に基づき、かつ、すべての関連する事情に照らして解決する。

第6部 大陸棚
【省略】

第7部 公海
第1節 総則
第86条 この部の規定の適用
 この部の規定は、いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分に適用する。この条の規定は、第58条の規定に基づきすべての国が排他的経済水域において享有する自由にいかなる制約も課するものではない。
第87条 公海の自由
1 公海は、沿岸国であるか内陸国であるかを問わず、すべての国に開放される。公海の自由は、この条約及び国際法の他の規則に定める条件に従って行使される。この公海の自由には、沿岸国及び内陸国のいずれについても、特に次のものが含まれる。
 a. 航行の自由
 b. 上空飛行の自由
 c. 海底電線及び海底パイプラインを敷設する自由。ただし、第6部の規定の適用が妨げられるものではない。
 d. 国際法によって認められる人工島その他の施設を建設する自由。ただし、第6部の規定の適用が妨げられるものではない。
 e. 第2節に定める条件に従って漁獲を行う自由
 f. 科学的調査を行う自由。ただし、第6部及び第13部の規定の適用が妨げられるものではない。
2 1に規定する自由は、すべての国により、公海の自由を行使する他の国の利益及び深海底における活動に関するこの条約に基づく権利に妥当な考慮を払って行使されなければならない。
第88条 平和的目的のための公海の利用
 公海は、平和的目的のために利用されるものとする。
第89条 公海に対する主権についての主張の無効
 いかなる国も、公海のいずれかの部分をその主権の下に置くことを有効に主張することができない

第13部 海洋の科学的調査
【省略】
※法庫(houko.com)に完全版(海洋法に関する国際連合条約)がありました。

今回、日本が実施しようとした海底調査とは、この条約の第87条1項f.の「科学的調査」に該当します。
そして、場所は条約の第5部の条項が適用される、排他的経済水域(EEZ)。
条約の第58条で、その場所が例え韓国のEEZであっても、日本が海底調査を行う自由は保障されます。
もちろん、沿岸国への事前の通知は必要ですが、EEZは公海ですから韓国の主権は適用されません。
韓国が、日本の調査船を正当な理由無く臨検、拿捕した場合は、この条約に違反することになります。
理は日本にあるのです。

それにもかかわらず、日本政府は調査を行わないと決定しました。
韓国は今回の口約束を破って、6月の会議に自国の調査資料を提出するかもしれません。
そうなった時、日本の手許には提出すべきデータがありません
竹島周辺海域の地形は韓国語だらけとなり、その中に含まれる竹島も海図上は韓国名“獨島(Dokto)”となるでしょう。
日本の領土「竹島」であるにもかかわらず、その名前は海図から消えるのです。
それではまるで、日本政府が「竹島が韓国領である」と認めたみたいです。

「不測の事態を恐れた」と言われます。
「竹島の国際紛争化を避けた」とも言われます。
違います。
今回の「交渉妥結」は、竹島問題の解決を先延ばしにしただけに過ぎません。
日本にとってプラスに作用するものは、何も無いのです。
韓国の、ショービニスム(chauvinisme)と言ってもいいレベルのナショナリズムを高揚させただけです。
今回の合意内容に私が点数を付けるなら、0点です。いやマイナスが付きます。

日本を基点に考えた時、竹島の領有権問題は是非国際紛争化すべき事柄です。
世界各国に、この問題が「韓国の実力行使に端を発した」領土紛争であることをアピールすべきです。
国際紛争となれば、第三国による調査、交渉の仲介、韓国への説得もあり得ます。
領土紛争の解決に結び付く、結果が待っているかもしれません。
そのためには多少の摩擦も覚悟の上で、日本は自国の理を押し通す必要があります。
もちろん、充分な準備をした上で、なるべく摩擦を少なくする努力も必要ですが。
過去の政権のように、ただ「揉め事は嫌」では、国家は「国民の生命と財産を守る」という責務を果たせません。

小泉総理の任期は、今年9月末まで。
もはや、腰を据えて物事に当たることが、できないのかもしれません。
いや、もともと口では強腰なんですが、今までも肝心なところでは腰が引けていました。
「金正男氏密入国事件」を思い出せば、納得できるでしょう。
「ハンミちゃん事件」でも、中国の反日デモに対する対応でも同じでした。
今回の結果も、やむを得なかったのかもしれません。
これが小泉政権の限界なら、“ポスト小泉”の方々に期待するしかありません。
でも今、長期政権が可能な人材がいるのかどうか…。

今からでも遅くはありません。
何とか理由を付けて、調査を実施して欲しいものです。
政変で小沢民主党政権が成立し、日韓合意を破棄する、という展開でもいいですから(笑)

※国連海洋法条約を調べていて、沖ノ鳥島について書かれているホームページを見付けました。
何かの参考になると思うので、リンクを置いておきます。
◆「沖ノ鳥島番外地
◆「幻想諸島航海記/[特別篇]沖ノ鳥島の謎
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by Hi-Zettaisha | 2006-04-23 23:40 | 政治・軍事・外交